【納得!】世界は感情で動く 行動経済学からみる脳のトラップ
頭のいい人たちが色々と考えて動かしているから 世界は合理的に動いている、となんとなく思い込んでいたけれど、 この『世界は感情で動く』を読むとそんなことは無いのだなとなんだか怖くなってしまう。
マッテオ・モッテルリーニ(著)
人間の脳は、頭がいいとか悪いとかに関係なく、
感情に左右されるモノであるということは知っておくべきだと思いました。
まず、『ピーク・エンドの法則』なんて全く合理的じゃないけれど、
人間は苦痛が長くなる方を選んでしまうこともあるということだし。
それは、例えば下記の2パターンの騒がしい音を聞くという体験をするとします。
①78デシベルの音を16秒間、続く
②78デシベルの音を16秒間続いた後に、66デシベルの音を8秒間続く
こうやって文章で見れば、もちろん①の方が楽だと思う。
騒音を聴いている時間が明らかに短いから。
論理的にはそうなのだけれど、それを体験した人は、
②の方が苦痛が少ないと答えるそうなのです。
つまり、カーネマンによると『ピーク・エンドの法則』とはこういう事なのだそう。
「あらゆる経験の快苦は、ほぼ完全にピーク時と終了時の快苦の度合いで決まる」
つまり経験の記憶は主観に寄って変えられ、その出来事の長さには関係ないという特徴があるということ。
人間は驚くほど速く記憶を忘れてしまうから、
「終わり良ければすべて良し」になる傾向があるということなのですね。
次に、先入観のトラップという、
『ものごとを読みたいように読んでしまう』という脳の動き。
私たちは、自分の意見を強くする根拠だけをピックアップして読み取り、
自分の意見を否定する根拠については見なかった振りをする。
例えば、死刑について、犯罪の抑止力があるという調査結果と、
抑止力が無いという調査結果がどちらも半分ずつ記載された資料を読んでもらうとする。
反対派の人は、その資料は反対するに足る根拠を示していると受け止め、
賛成派の人は、その資料は賛成するに足る根拠を示していると受け止め、
それぞれの人々が自分の意見の根拠が強められたと述べたという調査結果が出たそう。
同じ内容のものを読んでもそう理解するということは、
つまり自分の意見の価値を強められたという事実に納得するあまり、
都合の悪い内容は、ただ読み過ごしたということですね。
これはカラーバス効果の作用も入ってるかも?
もちろん、人には先入観というものはあるし、
その存在も知っているけれど、
脳の働きとして、すでにそんな傾向を持っているものだということ。
『自分の意見に都合の良い事実だけを取り上げて、都合の悪い事実は知らないふりをする脳の考え方の癖がある』と理解して、ものごとを見るのが大切なんだな、とそう思ったのです。
他人も自分も含めて、もっと合理的だと思っていた人間の脳ですが、
そうではないんだなあ・・・
人間の頭ってそんなに性能良くないのね!
というような目からウロコが落ちるようなことがたくさん詰まっている本でした。
まずこんな風に法則を知っていることで、
今、私の頭は感情でそういう判断をしているんだなと
冷静に客観的に見ることができるかもしれないと思いました。